親日的なトルコ人

三月十八日、朝マスターに今日までの宿泊代二千百トルコ・リラを払った。
ガラタ橋まで行ったが、今日も霧が深くて描けない。それで昨日、外国宛の小包便を扱う郵使局の住所と略図を書いてもらっていたので、下調べのつもりで略図を頼りに行ってみた。ガラタ橋を渡って右へ岸壁に添って行くと、赤地に鎌とハンマーを交差させ黄色に染め抜いたソ連の国旗を船尾に掲げた貨物船が繋がれていたが、ソ連人はいなかった。五百トンくらいの小さな船だった。
郵便局はすぐ分かった。平屋建で会社の倉庫のような建物だった。入って見るとまさしく倉庫である。袋詰にされた郵便物や小包が大きな部屋に山積にされ、廊下にまで積まれであった。窓際に事務室があったが、小さい部屋で、職員はせいぜい二十名くらいしかいない。外国宛の小包の窓口は一番
奥にあった。先客が十名ばかりおり、見ていると中身の検査は厳しい。私の番がきたので尋ねると、日本まで船便は約三ヵ月かかり、十キロまで千四百七十二トルコ・リラ(約三千円)で、航空便は一週間ほどで着くが、送料は船便の三、四倍だという。
ブラブラと新市街の殺風景なビルを見ながら歩いていると、ステンド・グラスを飯め、ところどころに金箔を押したモスクがあった。よし、これを描こう。そう思ってエーゼルを立てて描きはじめた。一時間くらい描いたとき、近くの機械の部品屋の五十前後のご主人がお茶を持って来てくれた。トルコの人達はとても親目的だというが、たしかにそうだ。
戦前、トルコを旅行して田舎へ行くと、東郷(平八郎ー―元帥)はどうしている。乃木(希典――大将)は元気かと聞かれたそうである。いつも北隣のソ連に痛めつけられていた彼等は、日露戦争でロシアを負かし、バルチック船隊を日本海で全滅させた乃木大将や東郷平八郎を、親の仇を取ってくれた恩人のように思っているらしい。お陰で私も今お茶をいただくことができた。イタリア、フランス、スペイン、モロッコと今迄回って来た国にこんなことはなかった。F4一枚、F3二枚、SM二枚を描いた時はもう四時近かった。絵具箱を片付けて帰り支度をしていると、おじさんがまたお茶を持って来てくれた。言葉が通じて話し込めば、面白い話をいっぱい聞けたのにと残念でならなかった。私はお礼の印に0号版の画用紙に似顔絵を描いてやった。どこか少しは似ているところがあったのか、おじさんは喜んで二百トルコリラをくれた。一応断ったが折角の好意であり有難くいただいた。二百トルコリラは日本円にして約四百円である。トルコでは大金だ。帰りにおじさんの好意を記念して土産物屋に寄り、少し足してトルコの壷を一個買った。
道々、夕陽のイスタンプールをスケッチしながら帰った。

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