落款印を彫る

三月十九日、午前中雨で、部屋でスケッチに着彩した。午後になって雨がやんだので城跡へ写生に行った。トルコの王宮、トプ・カプ宮殿である。ホテルからブルーモスクとアヤ・ソフィヤ寺院の聞の道を真直に五分ばかり行ったところである。木陰からイスタンプールの街を見下ろせるいい場所があったが風が強くてカンバスが飛ばされ、とても描けない。あきらめて今日は骨休みとホテルに帰ったがやっぱり部屋にいるのが惜しい。スケッチブックとカメラを持ってまた出掛けた。当てもなくバザールの方へ歩いて行くと、普通の住宅の玄関から出かけようとしていた初老の男に「オ、ジャポン」と声をかけられた。私は「ジャポン」と言ってベレi帽に付けていた日の丸のバッジを見せた。彼は馴れ馴れしく寄って来て「お茶を飲んで行け」と誘ってくれた。私はトルコの家庭を見たことがないので、この際と思って誘われるまま入ってみた。玄関から応接間まで繊椴が敷きつめられ花模様
のきれいな械椴が壁に掛けであった。お茶を出していろいろ歓待してくれる気持ちはわかるが、何分言葉が通じない。カメラを出してご主人と並んでいるところを、奥さんから撮ってもらって三十分くらいで辞去した。この男も東郷、乃木に感謝しているのだろう。日本人で言葉の通じない外人にお茶を出してくれたり、寄って行けと誘う人がいるだろうか。トルコには親日的な人が多いというが本当らしい。
バザールの貴金属街から毛皮街、骨董街をブラリブラリと歩いているうちにガラタ橋の前のモスクの裏まで下りて来ていた。そこに五、六人の判子屋がおった。店も持たないただ椅子に腰を掛けて新聞を見たり、雑談をしていた。印材は縦一センチ横三センチ角の銅版に摘みが付いているだけの飾り気のないものだった。彫り代も含めて日本円で三百円くらい。私はトルコの旅行記念に「T・YU」の三字を白文で彫ってくれと頼んだ。五分くらいで彫ってくれた。

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